猫と暮らす家 — The Cats’ House 2009

2009年、神戸に「猫と暮らす家」が完成した。
建築家・廣瀬慶二が設計したこの住宅は、猫の行動学と建築設計を融合させた日本初の本格的な試みである。キャットウォーク、キャットツリー、猫専用の動線、立体的なテリトリー構成——この家の内部には、猫のための「まち」がある。高低差のある通路、見晴らしの良い高台、隠れ家となる路地。猫にとっての環境エンリッチメントを、建築そのものとして実現した空間だ。
猫と暮らす家の設計を考えるすべての人に、ひとつの到達点を示す記録。2009年9月〜11月撮影。
In 2009, a home designed for cats was completed in Kobe, Japan.
Designed by architect Keiji Hirose, this house represents Japan’s first full-scale integration of feline behavioral science and architectural design. Catwalks, cat trees, dedicated movement paths, layered territorial zones——inside this house exists a “town” built for cats. Elevated passages, high vantage points, hidden alleyways. Environmental enrichment for cats, realized through architecture itself.
A record that offers one answer to what it means to live with cats. Photographed September–November 2009.
猫のためにつくったもの
キャットウォーク図面ありキャットウォークは長い方がいい。小屋裏を利用して家屋の端から端までを使いきる。
キャットツリーと老猫の尊厳図面ありfauna+designのキャットツリーとして認知されている猫用の省スペースな螺旋階段。
猫ステップと猫階段図面あり壁から板を突き出して、猫が使うようにしたもの。今ではよく見かける形式だが、この家がその始まり。
猫穴壁に穴を開けて、部屋と部屋をつなぐ。間取りに関係なく猫は移動できる。猫は20cm×20cmの穴を見ると向こう側を見たい欲求に駆られる。そこには確実にアフォーダンスが存在する。
猫トンネル猫を入れたくないけれど、姿は見たいという要望に素直に答えたガラス張りのトンネル。猫の探索欲求も刺激する装置。間取りに関係なく猫は離れた部屋に移動できる。
GreenRoom(猫専用の小部屋)主寝室の一角を猫専用の小部屋にしてある。猫のための縁側的な場所。吊り下げたキャットウォークは窓より低い高さに設置している。窓は基本的に猫のものだから。
猫ロフト図面あり小屋裏にある全長10.5mのキャットウォークの両端を「猫ロフト」と名付け、猫にとっての「目的の場所」として設定する。これにより、キャットウォークや猫ステップは、単体のモノではなく、役割を持った必需品に変わる。
爪とぎ柱図面あり柱に麻縄を巻いたものを猫柱と呼ぶ。猫の体重を受け止めるには仮設ではなく本設にする必要がある。強い猫柱は、家屋内の爪とぎの場所を引き受けてくれる。よって壁や家具は破壊から守られる。
犬と猫のゾーニング図面ありドアの上半分、下半分をバラバラに開くことができるドアは、一般のドアとしてだけではなく、通風を得ながら、ドッグフェンスとしても使えるアイデア建具。家じゅうを巡る・住人
家じゅうを巡る猫の回遊動線図面あり探索欲求を満たすことで、多頭飼育下の猫の問題行動は低減する。そのためには、猫が歩む道に行き止まりがあってはならない。道は幾度も交差しながら家を巡る。そして、やがて猫は老いる。若い頃に行けた場所へ行けなくなるのは猫の心を傷つける。猫の尊厳を守るためには、高い場所に登る楽な道をあらかじめ別に用意する。
猫たち(CAST)2009年に、この家に暮らしていた猫16匹と犬5匹。名前も紹介文も当時のまま。

